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青森マツダ自動車株式会社 青森県青森市
首都圏のプロフェッショナル人材を活用し、新車の効果的なプロモーションに成功。
自動車メーカー・マツダの新車販売ディーラーとして、青森県内に5店舗を展開する青森マツダ自動車株式会社。その中の一店舗、新青森店で取材に応じていただいたのは、同社の取締役で車販部部長の大仲浩史さんと、総務部部長の小枝英樹さんです。
青森マツダでは、2024年10月に販売が開始された「CX-80」の新車販売プロモーションに、首都圏に住む3名の人材を活用。豊富な知見からの提案やアドバイスをもとに、これまでになかった斬新なアプローチ手法に取り組み、全国のマツダのディーラーの中でも、トップクラスの売上を達成しました。

今回、外部の人材を活用するために同社が利用したのが「青森県プロフェッショナル人材戦略拠点」という取り組みです。これは青森県からの委託を受け、一般社団法人青森県工業会が設置しているもので、内閣府「プロフェッショナル人材事業」と連携して事業運営を実施。新事業の展開などに取り組む県内の中小企業と、豊富な知識や経験を持つプロフェッショナル人材のマッチングを進め、雇用や業務委託契約につなげるというもの。外部の人材採用に必要な費用の一部について補助を受けることができます。
「長年、社内では効果的なプロモーションができていないという課題がありました」と小枝さん。プロモーションの課題解決のために、2024年4月にマツダ本社から青森マツダに出向してきた大仲さんは「従業員各自がそれぞれに営業活動を展開していたものの、プロモーションとしてPDCA※を回すことができていない状態でした」と振り返ります。さらに小枝さんは「そんな中、弊社の社長があるセミナーで『青森県プロフェッショナル人材戦略拠点』のことを知り、外部の専門的な人材の力を取り入れることで、効果的なプロモーションが実施できるのではと利用することになりました」と説明してくれました。
※Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)のサイクルを繰り返し、業務を継続的に改善していく手法のこと

同社では人材サービス会社の紹介を受け、プロモーションのノウハウを持つ首都圏在住の人材に対し、オンラインでの説明会や面談を実施。「実は面談の時に、小枝が泣き出してしまって」と大仲さん。小枝さんは「お恥ずかしい話なんですが…」と当時の想いを話してくれました。「長い間、社内で抱えていた悩みや課題をそれぞれの方が的確に捉え、言語化してくれたのです。こちらの想いに真摯に向き合ってくれていることや課題解決の希望を感じて、胸に迫るものがありました」。

同社は当初一人だけを採用する予定でしたが、最終的に3名の方にプロモーション業務を委託。かつて広告代理店でマーケティングやPRに従事していた方、デジタル広告の営業マネージャーをしている方、Webデザインに精通している方という、いずれもプロモーションに豊富な実績と知見を持つ方々でした。
プロモーションの過程と結果で大きな成果を手に。
青森マツダではマツダの新たなフラッグシップ車として、半年後に発売が迫る「CX-80」のプロモーションを2024年4月から3名に担当してもらうことに。小枝さんは「初めの顔合わせや打ち合わせのために青森まで来てもらいましたが、自主的に店舗を回られたり、前向きな姿勢が力強く感じられました」と話し、大仲さんは次のように語りました。「最初に3人から指摘されたのは、プロモーションを考えるにあたって、まずは社員の意識改革が必要なんじゃないかということでした。社員の中にはアイデアの枠にとらわれていたり、自主性が不足していると感じられる人もいたということで、そういった意識改革を図るためにも売上の結果だけはなく、打ち合わせなどの過程も大切にすることにしました」。

CX-80のプロモーションを考えるにあたり、青森マツダでは外部の3名と、週1回オンラインで打ち合わせを実施。同社からは大仲さんと、各店舗から社員1名が参加しました。「3人のアイデアや事例のケーススタディなどはもちろんですが、アイスブレイクの雰囲気づくりなども、とても参考になりました」と大仲さん。打ち合わせではプロモーションに関するアイデアの提案や課題への解決案といった議論が中心でしたが、1人1、2分で『最近うれしかったこと』について話すトークタイムも設けたと言います。「お客様に感謝されたことや娘さんに言われた一言など、自由に話してもらいました。それだけで場が温まったり、コミュニケーションが深まったりして、社員の参加意識や自主性が高められることを実感できましたね」。
3人のアイデアをもとに打ち合わせを繰り返し、これまでにはなかったプロモーションを実施することになりました。多数のターゲットに向けて広く売り込むのではなく、顧客となりそうなターゲットを絞り込んでリストアップ。発売3カ月前から一週間ごとに一人一人にアレンジしたニュースレターを送ったり、お声掛けをしたりと丁寧なアプローチを続けるというものでした。小枝さんは「車を1台売るために、何度もお客様のもとに足を運んだり、角度を変えてアプローチしたりというのは、初めての取り組みでした」と話します。

また、CX-80の契約者向けに青森マツダならではの特別なノベルティを準備。青森の南部地方に伝わる民族芸能「えんぶり」の烏帽子をモチーフにした馬革のキーケースは、お客様にも大いに喜ばれたと大仲さんは言います。「オリジナルラベルの地酒といったアイデアなどもありましたが『もっと、うちだけのものを』と全員で考えました。その中でマツダが車づくりの哲学としている“人馬一体”というキーワードから、青森と馬の深い関係性に着目し、3人のうちの1人が青森の革職人とネットワークがあったこともあり、このキーケースが誕生しました」。


こういったプロモーションが功を奏し、青森マツダのCX-80販売の目標進捗率は、初期には国内のマツダディーラー47社中4位となり、マツダ本社でも非常に高く評価されました。また、打ち合わせを重ねる中で社員にも活気が生まれ、自主的な発言やアイデア提案が多くなったと大仲さん。「3人と向き合うことで見ないフリをしていた課題に本格的に取り組むきっかけになりました。また、参加した社員にはいい刺激になったようで、笑顔が増え、明るくなったような気がします」と言い、小枝さんは「プロモーションの打ち合わせの段階から色々気付きがあり、社内の変化が感じられました。外部の方にお願いして、本当によかったと感じています」と話してくれました。
新たな働き方やライフスタイルで地域の活性化に期待。
今回の人材活用では、プロモーションの過程と結果で大きな成果を手にすることになった青森マツダ。その成功の要因について小枝さんは「積極的な姿勢でプロモーションに臨んでくれる人材に依頼できたことに尽きると思います」と話しました。その人選についてのアドバイスを伺うと「これまでの経歴や実績なども大切ですが、個人的には人柄を重視した方がいいと感じています。3人も今回の機会を活かし、『経験を積みたい』『これからのキャリアアップにつなげたい』という考えがあったと思いますが、面談の時点で、どういう風に仕事に臨んでくれるか、想像できるような人たちでした」と答えてくれました。
一方、今回のケースを振り返って「3人と仕事を行えたのが一部の社員に限られてしまったことと、もっと現地で顔を合わせる機会をつくれなかったことが反省点なので、今後活かしていきたいですね」と大仲さん。青森マツダでは3名の契約を延長し、プロモーション以外の人材育成やチームワーク向上といったマネジメントなどについても協力を依頼したいと話しました。「もっと多くの社員に参加してもらい、外部の高度なスキルを持つ方々と接することで、さまざまな知見を吸収し、成長してほしいですね」。

最後に小枝さんは「青森という人材が限られている地域で、首都圏の優秀な方々の力を借りることができるのは大きな助けになります。今回のような働き方やデュアルライフをする人たちが増えて、地域が活性化していければうれしいですね」と新たな働き方やライフスタイルの定着へ期待を語りました。

