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株式会社ホテルシンフォニー 社長室長 佐藤 雄(さとう ゆう)さん

外部からの視点で、地域の魅力を発信するホテル業でのリモートワーク。

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まちづくりや地方創生、農業・漁業などのコンサルティングを行っている片桐新之介さんは、兵庫県に住みながらフルリモートで山形県寒河江市にある「ホテル シンフォニー アネックス」の商品企画などに関わるデュアルライフを送っています。

ホテルを運営する 株式会社ホテルシンフォニーblank の社長室長・佐藤雄さんは当初、リモートによる勤務に否定的だったそう。しかし、現在ではホテルに欠かせない人材として片桐さんに信頼を寄せ、新たな人材についてリモートワークや副業での雇用も検討しています。

今回はホテル業でのリモートワークという珍しいスタイルについて、片桐さんにはリモートで、佐藤さんにはホテルでお話を伺いました。

自分の可能性を広げるための副業

東京都出身の片桐さんは、百貨店の食品バイヤーや経営企画部を歴任した後、IT会社などを経て、まちづくり、地方創生、農業・漁業の課題解決を行うコンサルタントとして独立しました。

そんな片桐さんが、ホテルシンフォニーで副業としてリモートワークを始めたのは2023年8月頃。プロフェッショナル人材と企業のマッチングサイトで、ホテルの募集を目にしたことがきっかけでした。

「ホテルの集客という新たな分野に挑戦することで、自身の仕事の幅と可能性を広げられるのではないかと考えました」と片桐さんは話します。「特にホテルシンフォニーは“企画力が足りない”という課題が明確だったため、自らの経験を活かし、ミスマッチにならずに働けるだろうと思いました」。

片桐さんはオンライン面接やホテルシンフォニーアネックスの事業計画書提出などを経て、採用が決定。その後、現地を訪れ、ホテルと寒河江の魅力を強く感じました。「ホテルの周辺にはゆったり流れる最上川や旬のフルーツが集まる道の駅があって、観光のポテンシャルは高く、まだまだのびしろがあると感じました」。

外部の視点だからこそ気付く、地域の資源を魅力的に

片桐さんはご自身を「0から1をつくるタイプではなく、さまざまなものを掛け合わせて1を5に広げるタイプ」と分析しています。実際にホテルシンフォニーアネックスでも、地域の資源に改めて着目し、テーマ性豊かな魅力ある企画を実施してきました。

その一つが、トウモロコシの収穫体験付きプラン。地域の農家と連携し、とうもろこし畑での収穫や農家のレクチャーを、子どもの夏休みの自由研究にするという斬新なアイデアです。「現場の人たちの苦労を理解した上で、外部の人間だからこそ気付く地域の資源に光を当てることが自分の役割だと思っています」。

片桐さんはリモートワークでの成果について「スタッフの方の企画に対する姿勢も変わってきているように感じますし、売上を高められた施策もあり、手応えを感じています」。

副業としてのリモートワークを上手く進めるためのポイントについて尋ねると「受け入れ先とロードマップを共有し、勤務時間や費用、成果などのコンセンサスを明確に決めることが大切ではないでしょうか。そうすることで互いに過度な期待もなくなり、やるべきことがはっきりします」と答えてくれました。現在、片桐さんは月20時間、週1回1時間のオンラインミーティングという条件で業務を請け負っています。

今後について片桐さんはオンラインをベースにしながらも、さらに現地との繋がりを強めていきたいと語りました。「これからはもっと現地へ通って農作物の生産者や料理長と話したり、現地との繋がりを広げていきたいですね」。

リモートでも、しっかりコミュニケーション

株式会社ホテルシンフォニー 社長室長 佐藤 雄(さとう ゆう)さん

「最上川や蔵王連峰の風光明媚な眺めが、当ホテルの大きな魅力です」と「ホテルシンフォニーアネックス」の一室で語るのは、株式会社ホテルシンフォニーの社長室長・佐藤雄さんです。片桐さんとは連日リモートによるディスカッションを重ね、宿泊プランの企画を立案しています。

取材日には、新たな体験型プログラムなどのアイデアを相談していましたが、本音でざっくばらんに話す様子からは、片桐さんに大きな信頼と期待を寄せていることが伝わってきました。

しかし、佐藤さんは当初、この勤務体制に否定的だったと語ります。「対面じゃないとコミュニケーション不足になってしまうのではと思い、私は強い反対派でしたね(笑)」。

ホテルがリモートでの人材募集に踏み切ったきっかけは、山形県企業振興公社に人材の相談をしたこと。その際に補助金も利用できる、人材マッチングサービスを紹介されました。「1名のみの募集だったので、20人くらい応募があればいい方だと思っていたのですが、72名の方から応募があったので驚きましたね」。

その中で目を引いたのが、片桐さんの事業計画書でした。「寒河江の果物とSNSを組み合わせた企画で、我々にはない発想で驚きました」。

採用後には片桐さんと会って語り合い、さらに日々の打ち合わせを重ねる中で信頼を深め、当初のコミュニケーションの不安は解消されていったといいます。

「リモートでもしっかりとコミュニケーションが取れていますし、打ち合わせに向けてアジェンダを事前に作ったり、事業のゴールを共有することで進むべき方向は一つにできていると感じています」。

新しい働き方が事業の取り組みを広げる

先述のトウモロコシ収穫体験では、プログラムに参加した小学生から自由研究をまとめた写真が送られてくるといった出来事もあったそうです。

「お客様の満足度を高めるだけではなく、従業員のモチベーションを高めてくれる企画でした。さらにそこから生産者の方や洋菓子店との繋がりも生まれたんですよ」。

ホテルではこの企画をきっかけにワケありトウモロコシを使ったケーキを開発し、洋菓子店で販売するなど、地域を巻き込んだ取り組みへと発展しています。

「これまではホテル単体で売り込もうと思っていたのが、地域全体を巻き込むことでより魅力的なプランにできることを気付かせてもらいました」。

この他にも片桐さんのお酒の知識をいかしたメニューのバージョンアップを実施したり、最上川の土で創る“左官アート”といったアイデアも進行しているといいます。

「リモートワークに対する印象は180度ガラッと変わりました」と佐藤さん。「最初は不安もあると思います。しかし、地方で働くことに興味がある優秀な方がたくさんいました。弊社では今後もリモートワークなど、柔軟な勤務体制による雇用を増やしていくつもりです」と明かしてくれました。

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